全身の健康と子どもの発達:お口の重要性
2025/07/01
全身の健康は「お口」から! 院長 が語る、子どもの発達と生涯にわたる健康の繋がり
皆さん、こんにちは。南茨木で開業している朝田歯科 院長の朝田浩司です。日々の診療で私が強く感じているのは、「お口」の健康が全身の健康、そしてお子様の健やかな成長にいかに深く関わっているかということです。大阪府茨木市の朝田歯科では、単に歯を治療するだけでなく、皆様の生涯にわたる健康の土台作りをサポートしたいと考えています。今回は、私自身が普段から大切にしている考え、つまりお口の機能が全身の健康といかに深く繋がっているのか、そして特に子どもの時期に大切なことについて、対談させていただいた内容も踏まえながら、詳しくお話ししたいと思います。食事、姿勢、免疫力など、私が皆様にお伝えしたい大切な視点をご紹介します。
1. 「お口」は全身の健康の入り口だった!意外と知らないお口の機能と体の繋がり
皆さんは「お口」が体全体とどのように繋がっているか、深く考えたことはありますでしょうか?私は以前尊敬する先生から「利口(りこう)」という言葉は、「口が効く」からこそ「ちゃんと口を閉じれるから利口」なのだと教えていただきました。つまり、口を正しく使えることが基本的な機能の現れだということです。
また、昔は「顔を見ればその人の病の内容が分かる」と言われていた時代もありました。これは、顔が「腸の出先機関」として発生学的に発達してきたことに由来すると考えられています。最も単純な生物の形では、口と肛門があるだけで、海の中でプランクトンを取り込み、栄養を吸収して排泄するという機能から始まり、その間に腸ができて、その腸の出先機関として顔ができてきたのです。顔、そして舌(ベロ)も腸の出先機関であり、舌のどこがおかしいかで病気を判断することもあったそうです。
尊敬する先生が「命の初めに口ありきだよ」とおっしゃっていたように、お口はまさに生命の入り口であり、体の機能の根源的な部分を形作る上で非常に大きな役割を担っているのです。一般的な「虫歯や歯周病は口の中だけの話」という認識とは異なり、お口は全身の健康に深く関わっているのです。
2. 顎の発達には「噛むこと」が不可欠!現代の食生活が抱える問題点
お口の機能の中でも、特に「噛む」という行為は、顎の健やかな発達に不可欠です。しっかり「噛む」ことで、顎は大きくなっていきます。これは、噛む回数が増えることで唾液がしっかり分泌され、飲み込む際に舌(ベロ)の横が上顎の口蓋という部分をぐっと押す動きが起こるからです。この舌の動きが、側方への顎の拡大を促進します。
しかし、現代の食生活は柔らかいものが多くなっています。柔らかいものばかりを食べていると、噛む回数が減り、顎を育てる機械が失われてしまうため、顎が大きく育ちにくくなります。
本来、食事の際には、まず前歯で食べ物を捉え(捕食)、それから奥歯に持っていって咀嚼し、飲み込むという一連の行為があります。野菜スティックや鶏肉、皮付きのリンゴなどを例に挙げると、これらはまず前歯でしっかりと捉える必要があります。そして、奥歯でしっかり噛まないと飲み込めないため、自然と噛む回数が多くなります。これにより唾液もたくさん出て、舌の力も発達し、飲み込む際に顎が広がっていくという、ホモサピエンスとして経験すべき一連の行為が促されるのです。
食べやすいように小さくしたり柔らかくしたりすることが、かえってこの本来の経験を阻害し、顎の発達に影響を与えてしまう可能性があるのです。硬いものが嫌いになってしまうお子さんもいるようですが、小さくして食べやすくすることがそもそもの間違いであり、本来の食べる行為を経験させることが大切です。顎が小さくなると、歯並びなどにも繋がっていきます。
3. 食事だけでなく姿勢も重要? お口の機能と姿勢の関係
「お口」の機能は、食事だけでなく、実は「姿勢」とも深く関わっています。昔の教育、例えば明治時代の教育では、食の教育だけでなく姿勢の教育もしっかり行われていたそうです。
姿勢が良いと、集中力が増すという経験はないでしょうか?授業中に良い姿勢で先生と相対していると、話が頭に入ってきやすいものです。逆に姿勢が崩れてしまうと、そこに集中できなくなってしまいます。
面白いことに、明治維新で活躍した立役者たちの写真を見ると、口を開けている人がほとんどいないそうです。皆さん口をしっかり閉じて、顎もしっかりしている印象があります。これは、当時からそういった姿勢やお口に関する教育がしっかりと行われていたからではないかと感じています。
お口をしっかり閉じて鼻で呼吸をすること、そして良い姿勢を保つことは、集中力を高めるだけでなく、全身の機能にとっても大切な繋がりがあるのです。
4. 免疫力のカギは「お口」にあり? 口呼吸とアレルギーの意外な関係
お口の機能の中でも特に重要なのが「呼吸」です。もし、日常的に口で呼吸している(口呼吸)としたら、それは全身の免疫システムに悪影響を与えている可能性があります。
なぜ口呼吸がいけないのでしょうか?それは、空気中のウイルスや細菌、ホコリなどが、鼻で呼吸すれば鼻毛や粘膜でろ過・加湿・加温されてから体内に入りますが、口呼吸だと乾燥した冷たい空気がダイレクトに喉の奥にある扁桃に当たってしまうからです。
扁桃は、免疫系の重要な細胞である白血球を主に作っている場所の一つです。乾燥した空気にさらされ続けると、扁桃はダメージを受けてしまい、十分に機能する白血球を作れなくなってしまいます。結果として、本来の機能を果たせない「不全な白血球」が増えてしまう可能性があるのです。
このような状態だと、体内にアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が入ってきたときに、免疫システムがうまく処理できなくなってしまいます。これが、アレルギー反応を引き起こす原因の一つとなり得るのです。扁桃で白血球が適切に作られないと、免疫系が弱ってしまうのです。
口呼吸は、単に喉が渇くだけでなく、私たちの体が持つ本来の防御システムである免疫力にも深く関わっているのです。できるだけ早い段階から鼻呼吸を促し、お口を閉じる習慣をつけることが免疫力を守るためにも非常に大切です。
5. 子どもの将来を決める早期の経験:離乳食、ハイハイ、そして母乳の重要性
子どもの健やかな成長、そして将来の健康にとって、乳幼児期の経験は非常に重要です。特に、「お口」と体を使った早期の体験が、感覚統合や免疫システムの形成に大きく関わっています。
離乳食が始まる頃の「手づかみ食べ(手で掴んで口に運ぶ行為)」の時期は、非常に大切です。この時期は、手で触った物の感触、目で見た感触、そして舌で触った感触を脳で統合しようとしています。お母さんとしては周りが汚れるのでついすぐに綺麗にしてあげたくなりますが、この感覚統合を促す大事な時期に、本人がしたいことを無理にやめさせてしまうと、感覚的な発達が遅れてしまうことがあります。これは、本人が自然にしたいことを阻害してしまうことで、本来の発達がおかしくなってしまう例です。
また、運動発達では、立つ前には「ハイハイを長くさせた方が良い」と考えています。そして、「3歳ぐらいまでは最長距離を歩かせない」、つまり長時間歩かせ続けない方が良いという考えもあります。これはなぜかというと、血液、特に免疫系の白血球は、骨で作られるだけでなく、扁桃と「関節」でも作られているからです。小さいうちから長時間歩かせるなど関節に負担をかけると、免疫系が弱ってしまう可能性があると考えています。疲れたら抱っこ紐やベビーカーを使うなど、無理させないことが大切です。
さらに、免疫システムと深く関わるのが、赤ちゃんの「腸」です。生後2、3ヶ月から1歳半ぐらいまでの赤ちゃんの腸は、その「網」が非常に粗い状態です。そのため、分子量の大きい高タンパクなものでも、腸の網の間を通過してしまい、それがアレルギーの原因となることがあります。一度そのタンパク質が通過してしまうと、次に同じものを食べたときにアレルギー反応を起こしてしまうのです。
母乳に含まれるタンパク質は大丈夫なのですが、離乳食などで初めて口にする様々なタンパク質(卵など)は、注意が必要です。アトピーなども含め、腸が完成するまでは、できるだけタンパク質はお母さんの母乳だけにした方が免疫系へのダメージが少ないと考えています。蜂蜜なども1歳未満は避けるべき食品とされていますが、アレルギーの観点からも注意が必要な場合があります。初めての食事の際は、アレルギーを気にして、特に卵などは少量から与えるなど慎重に進めることが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では日々の診療や学びを通じて得た「お口」と全身の繋がりの重要性についてお伝えしました。 単なる歯の治療だけでなく、お口が全身の健康の入り口であること、正しい「噛む」ことによる顎の発達のメカニズム、お口の機能と姿勢の関連3、免疫システムとの深い繋がり(口呼吸とアレルギーなど)、さらに離乳期や早期の身体的な経験(手づかみ食べやハイハイなど)の重要性、そして母乳とアレルギーの関連など、多岐にわたる視点からお口の機能の大切さをご理解いただけたかと思います。
朝田歯科では、こうしたお口の根本的な機能に着目し、お子様向けの「カムカム倶楽部」や、生涯ご自身の歯で健康に過ごせるようサポートするための予防歯科や定期メンテナンスに力を入れています。歯並びや虫歯の治療はもちろん、患者様一人ひとりの健康の土台作りをお口から支えたいと考えています。
お口の健康を見直すことは、全身の健康を見直すことに繋がります。ぜひ、ご自身やご家族の健康のために、この機会にお口の機能について考えてみてください。南茨木で歯並びや虫歯などお口のお悩み、そして全身の健康に関するご相談があれば、朝田歯科へお気軽にお問い合わせください。皆様の生涯にわたる健康と幸せを、お口のケアを通じて応援いたします。
朝田歯科 院長 朝田浩司